80代で、お薬が1種類だけというのは優等生。高齢になればなるほど、血圧の薬、高脂血症の薬、骨粗しょう症の薬、便秘の薬などをあちこちの病院で処方され、あっという間に10種類以上の薬を飲んでいる方も珍しくない。でも、それではかえって体に負担をかけてしまう場合もあるので、近頃では、1日に飲む薬は5種類未満にと推奨されています。メイコさんのように、必要最小限のお薬を飲むのが理想です。

中村 健康診断にも行かず、自然に任せている私にとって、「こんな兆候は危険信号」と、気をつけておくことはありますか?

 60歳以上の女性は、半年で2~3kg以上痩せてきたら要注意。特にダイエットもしていないのにそれだけ体重が減るのは、筋肉量の減少が懸念されます。筋肉が落ちると疲れやすくなるので、運動量や食欲も自ずと減っていき、先ほどお話ししたフレイルに陥りやすくなる。65歳を超えたらBMI数値が25~30の「ぽっちゃり体形」が正解です。

中村 そうなんですか。むしろ、小太りのほうがいいんですね。

 体重の減少だけでなく、女性なら握力が18kg未満だと、全身の筋肉が落ちている証拠です。

中村 私、年齢の割に握力はあるほうだと思いますよ。

 歩く速度も、1秒に1m未満だと、運動能力がかなり落ちていると言えるでしょう。

中村 個人的な意見ですけど、声が小さくなってくると要注意ですよね。私の周りでも、声が小さくなってきた方は、体が弱ってきているように感じます。

 そうですね。声の大きさだけでなく、「咳き込む」「むせる」が増えてきたら、口や喉の筋肉が衰えてきているというサイン。放っておくと嚥下障害が進み、誤嚥につながり危険です。誤嚥性肺炎は高齢者に多い死因のひとつ。大きな声で歌ったり、積極的におしゃべりをしたり、舌を出し入れするトレーニングなどをして、口の周りの筋肉を鍛えたほうがいいでしょう。