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自分の子じゃなくても、三親等以内ならいい 75歳以上になって本当に住まいに困ったら
判断理由は非開示、ブラックボックスの中
コロナは不動産業界を変えた

判断理由は非開示、ブラックボックスの中

仕事柄、肌感覚として「〈一生賃貸〉の人は増えていると感じています」と、おじさんは言いました。「資産を残すことを考えるなら購入してもいいですけど、残す必要がないなら一生賃貸でいいじゃないですか。毎年毎年、空き家は増えているし。首都圏にこだわらないなら、賃貸で住み続けられると思いますよ。これからもっと高齢化社会が進みますから、行政も変わると思いますし」。その通り、国も高齢者の住宅施策を考えていないわけではありません。昨年末に政府の「全世代型社会保障構築会議」がまとめた報告書にも、今後検討すべき重要な課題として、高齢者の住宅問題が挙げられていました。

つまり、――アラ還の私は、まだまだ民間賃貸で住み替えが可能みたいです。
ほっ。安心しました。ただし、入居申し込み時には、審査があります。1年分の収入証明(確定申告)を提出しなくてはいけません。会社員時代は法人契約で、会社の看板のおかげで審査は難なく通っていました。これが個人だと、何で判断されるのでしょう。個人事業主や女性だからと断られることはないそうですが、大家による好き嫌いではなく、保証会社による与信調査だそうです。

判断理由は非開示、ブラックボックスの中なので、本当の理由は分からないとか。クレジットカードで過去に滞納などの「事故」がなければ、大丈夫ではないかとのことでした。こればかりは、実際に書類を出してみないことには分かりません。まずは、住みたい・住める賃貸物件を探さなくては。

「じゃあ、あとは物件が出るのを待つしかないですね」。でも、前回書いた通り、「掘り出しもの」はすぐ埋まってしまいます。良い物件などなかなか出てきません。と、ぼやいていたら、おじさんは、そもそも出回る物件数が減っていると教えてくれました。
「物件が出にくくなってますね。コロナ前と比べて、半分になっています」
なんとここにも、コロナの影響があるそうです。

いわく、――コロナで在宅ワークが広まり、出勤しなくていい企業が増えた。転勤になっても異動しないまま、リモートで働く人が増えた。結果、転勤による転居の数が減り、退去による空室(供給)が減った。転勤も減ったので客(需要)も減った。こうして市場が需給ともに細る中、売り上げを確保するために、不動産屋が「直(じか)づけ」を増やした。

不動産屋の前で、「シニア特集」の文字につい立ち止まる