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3月に入り、各地の学校で卒業式が行われています。卒業式に欠かせないものといえば卒業式ソング。「仰げば尊し」や「蛍の光」のように長きにわたって歌われ続ける定番の曲もあれば、比較的最近になって歌われるようになった曲もあります。中には、元々はラブソングだった曲がいつの間にか卒業式ソングとして扱われるようになった例もあるようです。今回は、卒業式でよく歌われる曲の中から明治・昭和・平成に発表された10曲を選び、発表年代別にご紹介します。
この記事の目次
蛍の光(日本語作詞:稲垣千穎(いながきちかい)/作曲:不詳)
仰げば尊し(作者不詳)
翼をください(作詞:山上路夫/作曲:村井邦彦)
卒業写真(作詞・作曲:荒井由実〈現:松任谷由実〉) 贈る言葉(作詞:武田鉄矢/作曲:千葉和臣) 旅立ちの日に(作詞:小嶋登/作曲:坂本浩美) 3月9日(作詞・作曲:藤巻亮太) 栄光の架橋(作詞・作曲:北川悠仁) 手紙 〜拝啓 十五の君へ~(作詞・作曲:アンジェラ・アキ) YELL(エール)(作詞・作曲:水野良樹) 卒業式で歌われる曲は時代とともに変化していく

蛍の光(日本語作詞:稲垣千穎(いながきちかい)/作曲:不詳)

スコットランドの民謡「Auld Lang Syne(オールド・ラング・サイン)」を原曲とし、1881年(明治14年)に「小学唱歌集 初編」で発表された日本の唱歌です。

冒頭の歌詞「蛍の光 窓の雪」は、故事成語「蛍雪の功(けいせつのこう)」の内容に基づいており、「苦労して勉学に励むこと」を意味しています。

「仰げば尊し」とともに、古くから卒業式で歌われる曲として親しまれてきました。しかし、近年では卒業式ソングにJ-POPを選ぶ学校が増えたため、以前よりは歌われなくなってきているようです。

 

仰げば尊し(作者不詳)

1884年(明治17年)に発表された唱歌です。原曲は、卒業を歌ったアメリカの歌「Song for the Close of School(ソング・フォー・ザ・クローズ・オブ・スクール)」です。

卒業生が教師に感謝し学校生活を振り返る内容の歌で、2006年に、文化庁と日本PTA全国協議会が「長く歌い継がれる曲」として選定した「日本の歌百選」の一つに選ばれました。

蛍の光と並んで、一般的に「卒業式ソングといえばこの曲!」というイメージが強い曲ですが、意外にも近年では生徒に教えない・歌わせない学校も増えているようです。歌詞に古語が多く分かりにくいことや、教師賛美の内容が時代にそぐわないなどが理由とされています。そのため、今の10代では歌詞どころか歌自体知らないという人も多いのだそうですよ。

 

翼をください(作詞:山上路夫/作曲:村井邦彦)

フォークグループ「赤い鳥」が1971年(昭和46年)に発表した曲です。

1970年に行われたヤマハ主催の作曲家コンテスト「合歓(ねむ)ポピュラーフェスティバル'70」で、「赤い鳥」が歌唱するために書き下ろされました。

願いと祈りを込めた歌詞が特徴で、仰げば尊しと同じく「日本の歌百選」に選ばれています。