働き方に見合わない賃金

「トラック事業は1990年に大幅な規制緩和が行われた。荷物の需要に対して事業者が多くなり、運賃は低迷した。その結果、ドライバーに賃金をたくさん払えなくなった」=根本氏

「トラック業界は、二次請け、三次請け、四次請けのような多重下請けになっている。下に下がるほど、運賃は安くなる。そうした構造も賃金が上がらない温床になっている」=加谷氏

伊藤日本は賃金が伸び悩んできました。トラックドライバーなど、生活を支える身近な業界の賃金は必ずしも高くありません。人口も減少に転じて、働き手を集めにくくなっています。抜本対策は先送りされてきましたが、ここにきて、賃上げの機運は高まっています。厳しい環境に置かれているドライバーの待遇改善につなげられれば、大きなインパクトになります。

賃金について©️日本テレビ

トラックドライバーの賃金は労働時間に見合っているとは言えません。魅力ある職場でなければ、働き手はさらに減るでしょう。立場の弱い人にしわ寄せがくる構図を変える必要があると思います。業界の努力が求められますし、政府は積極的に対策に乗り出すべきです。社会全体が物流の恩恵を受けています。「こういう労働に対してはこれくらいの賃金が適正だろう」と考えるような風土に、日本も変わっていくべきではないでしょうか。

吉田業界の商慣習や規制緩和の負の側面を見直すことも必要です。番組では、トラックドライバーの長距離運転を減らすため、トラックの荷台を切り離して船で運んだり、東京と大阪の間に中継基地を設けたりする取り組みを紹介しました。ライバル関係にある日本郵政とヤマトホールディングスが連携して「2024年問題」に対応することを発表するなど、1社だけではなく、業界として持続可能な物流を目指す動きも広がっているようです。

2つの事例©️日本テレビ

20歳代の女性トラックドライバーのSNSが最近話題になっています。前向きな投稿を心がけているといい、普段の仕事ぶりや息抜きの様子が伝わってきます。ドライバーの中には、働く時間が短くなると、賃金がさらに下がってしまうと心配する声もあるようです。ドライバーの意欲を維持できるような業界の取り組み、政府の対策、消費者の理解が求められます。