必要な消費者の意識改革
「荷物を受け取る消費者も物流の改革に貢献すべきだ。物流のコストを『見える化』しないといけない。『送料無料』で消費者を囲い込んでも、実際には費用がかかっている」=根本氏
「『この日に必ず届けてください』という希望の実現にも、実は相当なコストがかかっている。どこにコストがかかっているのかを、消費者が認識できる形で示すべきだ」=加谷氏
伊藤企業が収益を求めるのも、消費者が利便性を求めるのも当然のことです。そこで、「安くして」「早く届けて」と圧力をかけて、より強い立場に立てるのは消費者の方です。利便性の追求とともに、「上から目線」のような態度をとるようになっていないか。相手に対する想像力が欠けるようになっていないか。そこから意識を変えていく必要があると思います。
吉田同感です。電球一つでも届けてくれますし、不在であれば再配達してくれます。こうした行き届いたサービスは、トラックドライバーの長時間労働によって支えられてきました。2024年は、医療や建設の分野でも、猶予されていた働き方改革が実施されます。社会の機能を維持するために、サービスを受ける側も、どのような協力ができるのかを考える時です。
解説者のプロフィール
伊藤俊行/いとう・としゆき
読売新聞編集委員
1964年生まれ。東京都出身。早稲田大学第一文学部卒業。1988年読売新聞社入社。ワシントン特派員、国際部長、政治部長などを経て現職。
吉田清久/よしだ・きよひさ
読売新聞編集委員
1961年生まれ。石川県出身。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。1987年読売新聞社入社。東北総局、政治部次長、 医療部長などを経て現職。