人生の折々には、家族構成の変化やライフイベントをきっかけに、「よし、片づけよう!」と一念発起する瞬間が訪れるもの。その機を逃さず、みごと「自宅リセット」を成し遂げた人たちが、自身を奮い立たせた理由とは何だったのだろうか? シングルマザーの里佳子さん(仮名)が再婚を機に決意したことはーー(取材・文=武香織)
前の人の「気」がこびりついている感じ
元夫が建てた一軒家に、2人の息子と暮らしてきたシングルマザーの里佳子さん(47歳・保育士)は、昨年、12歳年下の男性と再婚した。
そして夫が引っ越してきたのを機に、家じゅうを大掃除することになった。というのも、夫が、元夫の痕跡を見つけては、「これは見たくない。あれも嫌だ」と、拒否反応を示したからだ。そして、家中の床や壁を、「前の人の『気』がこびりついている感じがする」と、険しい顔で黙々と拭き続けた。
「夫も私と同じバツイチで、元妻が引き取ったとはいえ、2人の子どもの父親です。なので、元夫のことにこだわるほど幼くないだろう、と思っていたら……あまりにも直球な言動に驚きました。でも年は一回り下だし、まあ、かわいい嫉妬だな、と」
カーテンとベッドのマットレスも買い換えた。そして、元夫が購入した家具、里佳子さんがプレゼントでもらったバッグ、洋服、アクセサリーなどをリサイクルショップに売り払うことに。
「前の結婚指輪も売りました。数千円ぽっちでしたけどね。大型ワゴン車に売る物をギューギュー詰めにして、自宅と3往復。全部で約1万円の売り上げになったのですが、そのお金も残さないほうがすっきりするなーと思い、家族4人で食べ放題の店に行って、きれいに使いきりました(笑)」