東京公演が2月6日に開始、主演の前田公輝さんに話を聞いた
座長のプレッシャーよりも好奇心が勝っていた
――ミュージカル初主演ということで、座長としてのプレッシャーはありましたか?
座長として現場をどう作るか、最初考えたのですが、キャストの皆さんのキャラクターと役がかなり合致しているということもあって、自然に入る事ができました。プレッシャーよりもチャン・グレとしてこのチームにいられる好奇心のほうが勝っていたし、演出のオ・ルピナさんと作品へのアプローチの仕方が共感できていたので、不安はありませんでした。この作品のテーマも「共感」なんですよね。
――韓国の大ヒット漫画が原作となり、2014年にはドラマ化もされて社会現象ともなった作品ですが、ミュージカルにしたことで出た魅力、見どころというのはどんなところでしょうか?
『ミセン』は、何かが振り切っているようなストーリーではなく、日常を描いている作品です。もともと、ドラマなら20時間もある作品を、舞台であれば長くて3時間にしなければいけない。ミュージカルのエンタメ性、音楽の力を借りることで、より強くお客様にメッセージが伝わるのではないかと思います。
――すでにご覧になったファンの方から、「明日への活力になる言葉がたくさんある」というコメントもありましたが、前田さんご自身の好きなセリフや場面はありますか?
![オ・サンシク(橋本じゅんさん)の舞台写真](https://fujinkoronmw.ismcdn.jp/mwimgs/f/b/500/img_fb6833807976d94e7f171669d2b04dca248254.jpg)
クライマックスの部分なのですが、チャン・グレの名前に関する場面ですね。「グレ」っていうのは、韓国語の一般用語「イエス」の意味もあり、名前のせいでいじられることもあったりして、主人公にとってはコンプレックスだったんです。でもそれが、橋本じゅんさん演じる上司のオ・サンシク課長が言ってくれる言葉で、ガラッと変わるという…。ドラマファンの方にもぐっと来る場面になっていると思います。あとは、母親の安蘭けいさんとの場面でしょうか。
――今回、安蘭けいさんは、チャン・グレの母親役と、上司のソン・ジヨン次長の2役ですが、混乱したり面白い部分はありますか?
![チャン・グレ(前田公輝さん)とグレの母(安蘭けいさん)の舞台写真](https://fujinkoronmw.ismcdn.jp/mwimgs/a/5/400/img_a5c6710b7b8f6ab22b1de3c5878854f3464027.jpg)
もう、別人すぎて、何も面白くないくらいでした(笑)。ほんとに、別の俳優さんじゃなくいかと思うくらいです。お母さんが出てきた、次長が出てきた、としか思わないです。先日、僕のラジオにゲストで来てくださったんですが、僕のことを、誰か別の俳優に似てる、っておっしゃるんですよ。で、「それはないですよ!」と結構偉そうに言ってしまったんです。初対面で、事務所(ホリプロ)の大先輩でもあるのに。でも、ものの40分くらいで一気に距離が縮まったというか。安蘭さんがそんな空気を作ってくれたというか。そういった計算していない奇跡が重なって、素晴らしい現場になっていると思います。僕と安蘭さんのシーンなんて、キャストが毎回泣いちゃってますから。毎日同じ芝居をしてるのに。次のシーンは目が真っ赤じゃいけないのに、みんな泣いてて。