医療と関連のないサービスは、医療費控除にはならないので要注意。訪問介護(生活援助中心型)、認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)、福祉用具貸与などは対象外だ(イメージ/写真提供:写真AC)
専門家が独自の目線で選ぶ「時代を表すキーワード」。今回は、経済ジャーナリストの荻原博子さんが、「介護費用の確定申告」について解説します。

離れて暮らす親の介護でも対象になる

確定申告の季節となりました。2020年の申告期間は、2月17日から3月16日。会社員でも申告すれば、払いすぎている税金を戻してもらえます。最もポピュラーなのが、医療費控除。親の介護費用も控除の対象となるケースがたくさんあるのですが、それを知らない人は意外に多いです。

たとえば、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに入居している方の利用料など。また、在宅での介護サービスには、訪問看護やリハビリテーションなどの「医療系サービス」と、訪問介護や生活援助などの「福祉系サービス」がありますが、控除の対象となるのはおもに前者です。医療系サービスと併せて福祉系サービスを受ける方は、両方とも控除対象になる場合も。

控除対象や控除になる割合などは複雑ですが、領収書には控除の対象かそうでないかが書かれていますし、もしわからなければ税務署の窓口で聞いてみましょう。親切に教えてくれます。

また、高齢者のおむつ代も、半年以上寝たきりの場合は、医師が発行する「おむつ使用証明書」があれば控除の対象になります。

両親と離れて住んでいても、仕送りなどをしている場合には、生計をひとつにしている「家族」ということになりますから、他の家族の医療費と合算して申請すると、そのぶん税金が多く戻ってきます。所得税率が一番高い人が家族の分をまとめて確定申告すると、還付金額が最も高くなりますよ。

国からお金を取り戻せる貴重な機会ですから、ぜひしっかり申告しましょう。