
数年前に父を亡くし、一人暮らしを始めた母・ケイコは、卓球や友人との交流など、毎日をアクティブに過ごしています。元気でいてくれるのは嬉しいし、年齢のわりには若々しい印象の母。けれど、老いは確実に母に近づいているのです……。母を心配するあまり、つい口出しをしてしまうのですが、「まだ大丈夫」と突っぱねられ、気づけばケンカに発展。そのすれ違いは、親子だからこそ深く、そして複雑なのでした。
予定ぎっしりの母
予定がぎっしり詰まっている母のスケジュール帳。“忙しさ”に自分を委ねるように、日々を埋めているようにも見えました。
テレビの音量のことで言い合いに
最近テレビの音のことで、母と言い合いになることが増えてきました。何度言っても直らない母。「このくらいの音量ではどう?」と音量を下げても、いつの間にかまた音量をあげていての繰り返しなのです。今日も音が大きすぎて気づけばリモコンを奪い取って電源を切っていました。
抑えきれない苛立ちから、私はついきつい言葉を母にぶつけてしまいます。
母と簡単には埋まらない距離が
聞こえていないことを認めないで、人のせいにする母と、どうにか聞こえづらくなっていることを認めて対処してほしい私。しかし母はどんな言葉も受け入れてくれません。そのすれ違いは、簡単には埋まらない距離となっていきました……。
母の本当の気持ち
本当は、ただ元気でいてほしかっただけ。けれど、その思いは素直に伝わらず、気持ちはぶつかり合ってしまいました。
そして、しばらく経って母の胸の内にあった本当の気持ちを知ったとき――母が怒った理由を、私はそのとき初めて理解しました。
第2話は明日公開です。
