ストレッチャーに乗せられた祖母は母を見るなり…
101歳を迎えた作家の佐藤愛子さん。100万部突破の『九十歳。何がめでたい』(2016年、小学館)をはじめ、ユーモアエッセイで長く人気を博しています。百寿者とは思えぬ仕事ぶりの一方で、家族からみた佐藤愛子さんの姿とは。孫の杉山桃子さんがコミックとエッセイで描く『婦人公論』の連載「うちのばあさん101歳」。第9回目は「ばーさん、夏の危機〈後篇〉」。

ばーさん、夏の危機

夏の暑い盛り、祖母は40度の熱を出した。

100年もの間壮健を誇った祖母の肉体も、令和の異常気象を前にしてついに音を上げたのである。病院へ緊急搬送されたとの連絡が私の元に来た。

祖母に何かあった時の対応は、咄嗟に動くのが難しい母に代わり私が担当していた。

今回も私のところに連絡が来たのだが、私は私で移り住んだばかりの部屋のエアコンから水が噴き出しておりそれどころではなかった。

「それどころ」というのも違う気がするが、とにかくその時は泡を食った私の代わりに、母に病院まで行ってもらった。