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厄介の種はもともとあったのかもしれない。そこに新型コロナウイルス感染症の影響で、会うことのできない状況が、心配やトラブル、身内の問題をより面倒にする。家族の溝は深まるばかり。峰岸さん(仮名)の場合、単身赴任の夫の様子が気になって……(取材・文=樋田敦子)

生身の夫とは3度しか会えていない

通算13年、4度目の東京単身赴任生活を送る夫を持つのは、パート社員の峰岸勝枝さん(60歳)。会社員時代の夫は、週初めに大阪の本社で会議があるため、週末は神戸の自宅で過ごし、定年後に東京で起業した現在は、月に1度ほどのペースで帰ってきていた。

ところがこのコロナ禍で、今年は1月、6月、9月と、生身の夫とは3度しか会えていない。峰岸さんは仕方ないと思うが、飼い犬は夫を忘れて、逆毛を立てて吠えるようになった。

「年中一緒にいたら、悪いところも見えますが、いなければ見ようがない。趣味の山歩きなど、一緒にできたら楽しいのにと寂しく思うこともあるけれど、あきらめています。普段の連絡はもっぱらLINEで、たまにビデオ通話。電話もほとんどしません」

そういった生活に慣れていたせいか、新型コロナウイルス感染症が流行し始めた1月末と3月に夫が発熱した際も事後報告だった。