ミュージカル
ペテン師と詐欺師

9月1~26日/東京・新橋演舞場
脚本/ジェフリー・レイン 音楽・作詞/デイヴィッド・ヤズベク
演出・上演台本/福田雄一
出演/山田孝之、石丸幹二、
宮澤エマ、保坂知寿、大和田美帆、岸祐二ほか
☎0570・000・489(チケットホン松竹)

勝つのはベテランか若手か。
丁々発止にぞくぞくして

2005年にブロードウェイで初演、トニー賞の10部門でノミネートされたコメディミュージカル『ペテン師と詐欺師』が、“和の殿堂”新橋演舞場で上演される。メインキャストとなる2人の詐欺師を演じるのは、出演作が常に話題を呼ぶ個性派・山田孝之と、ミュージカル界のトップスターで、近年はテレビドラマでも活躍中の石丸幹二。だましだまされるスリリングな展開のなか、対照的な個性をもつ両者の丁々発止が見どころだ。

舞台は南仏の高級リゾート地、リヴィエラ。才気あふれる若いアメリカ人詐欺師フレディ(山田)は、優雅なベテラン詐欺師のローレンス(石丸)と出会う。警察署長のアンドレ(岸祐二)と共謀し、大金持ちの未亡人ミュリエル(保坂知寿)らをだまして荒稼ぎしているローレンスに、フレディは弟子入りを決意。さっそく協力し合い、石油王の娘ジョリーン(大和田美帆)をだますことに成功する。だが次第に縄張りをめぐって敵対するようになったフレディたちは、旅行中の育ちの良さそうなアメリカ娘・クリスティーン(宮澤エマ)をカモに、どちらが先に5万ドルを巻き上げるか勝負を始めるが……。

ミュージカル作品、かつ、ダンディな魅力でご婦人たちをだます役どころは、元劇団四季のプリンス石丸にハマり役。対する山田はドラマや映画での活躍が印象的だが、14年の『フル・モンティ』、昨年の『シティ・オブ・エンジェルズ』、さらに本作と、舞台も意外に短いスパンで踏んでいる。3作とも、山田主演でスマッシュヒットとなったドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの脚本家・映画監督で、演出家としても多くの舞台に携わる福田雄一が手がけた作品だ。山田の舞台進出は気心の知れた福田ありきともいえるが、『フル~』『シティ~』ともに客席数1000以上の大箱での公演だった。いきなりの大舞台で観客を魅了したのだから、舞台役者としての実力は伊達ではないだろう。

今回の上演も、客席数約1400の新橋演舞場。近年はスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』など、伝統にとどまらない“攻め”の姿勢がエンタメ界で存在感を放っている劇場でもある。そんな空間で、山田・福田の最強コンビがどんな舞台を見せてくれるのか注目したい。

 

 

 

地人会新社
リハーサルのあとで

9月1~10日/東京・新国立劇場 小劇場
作/イングマール・ベルイマン 翻訳/岩切正一郎 
演出/栗山民也
出演/一路真輝、森川由樹、榎木孝明
☎03・5912・0840(J-Stage Navi)

『ファニーとアレクサンデル』『野いちご』などで知られる映画監督イングマール・ベルイマン。思索的なテーマと詩情あふれる映像美で名だたる映画祭の賞を総なめにした巨匠だが、60代からは劇作家・演出家として活動していたことを知る人は少ないのでは。本作は当時のベルイマンが、演劇的手法を取り入れて書いたというテレビ映画が原作。年配の演出家ヘンリックと若い女優アンナの会話に、演出家の友人でアンナの母でもあるラーケルが加わり、意外な事実を浮き彫りにしてゆく。十数年前にパリの友人からテキストをもらって以来、舞台化を温めていたという栗山民也が、ベルイマンの透徹した視点をたどり、演出に挑む。

 

 

 

美輪明宏の世界
~愛の話とシャンソンと~

9月7~23日/東京・東京芸術劇場 プレイハウス
構成・演出・出演/美輪明宏
演奏/セルジュ染井アンサンブル
☎03・3477・5858(パルコステージ) 
※名古屋、群馬、福岡、大阪公演あり

毎年恒例となっている美輪明宏の秋のコンサートが、今年も開催。タイトルどおり、美輪が大切にしてきたシャンソンのレパートリーから、選りすぐった曲を送る。美輪のシャンソンの特徴は、その背景をストーリー仕立てで見せること。美女はもちろん、若い娘や老女、娼婦、さらには色男まで鮮やかに演じ分け、歌い上げる。曲が終わる頃には、まるで一幕の芝居を観たようなカタルシスが得られるのだ。ピアフの原曲から自身が和訳した「愛の讃歌」や、不朽の名曲「ヨイトマケの唄」などが披露される可能性もアリ。軽妙かつ鋭いトークとともに、叙情あふれるステージを堪能できるはずだ。