堂々たる風格と佇まいはまさに「帝王」、日本のミュージカル界を牽引してきた山口祐一郎さん。そして、バレエ出身ならではの美しいダンスと甘い歌声で、今、引っ張りだこの新星、三浦宏規さん。帝国劇場の舞台で、その二人がタッグを組む。舞台へかける情熱は――(撮影=木村直軌 構成=上田恵子)
「本物の祐さまだ。実在したんだ! 」
三浦 祐さんとは、2022年11月まで上演していたミュージカル『ヘアスプレー』で、初めてご一緒させていただきました。最初に生で、しかも間近で祐さんの稽古を見た時は、「本物の祐さまだ。実在したんだ!」と震えました。
舞台上で空間を支配して、観客を含めたその場のすべてを掌握なさる姿に、毎回圧倒されています。
山口 ミュージカルは踊り、歌、芝居という3つの要素からなるものですが、僕はこの3つをリミットなしでのびのびと表現できる人の登場を、ずっと待っていたんです。待っているうちにおじいちゃんになってしまったけれど(笑)、ちょうど自分の孫の世代で宏規さんのような人が現れた。
この大変な時代に、生きる喜びとか夢とか希望といったものを体現できる逸材が目の前に登場してくれたのですから、もう鳥肌ものでしたよ。舞台上で歌い踊る宏規さんを見て、重力がなくなるってこういうことかと思いました。
三浦 うわあ……そんなふうに言っていただけるなんて。胸がいっぱいで、すでに涙目です。僕のほうこそ、今日まで祐さんの舞台をたくさん観せていただいてきました。
さらには、ご一緒した『ヘアスプレー』の稽古場での時間と、そこで話してくださった、たくさんのこと……。ものすごく貴重な機会をいただいたと思っています。