市村 週に3回は行ってる。しかもさ、あの日週刊誌に撮られたじゃない。後ろ姿だったから相手が草笛さんだとわからなかったみたいで、「市村、年配のご婦人とヨガデート」みたいなことを書かれたのよ。
草笛 そりゃあ、5、6年前だって年配だからしょうがないけど(笑)、そんなものを撮る人がいるんだわってびっくりした。あなたが「ヨガに行こうよ」って言うからついて行っただけなのに。
市村 違うでしょ。「連れてって」って言うから連れてったんだよ(笑)。まあ、草笛さんも日々トレーニングを続けられているわけだし、僕は舞台に上がった草笛さんが観たいね。まだまだやってほしい役があるの。
『サンセット大通り』のノーマとか、『リトル・ナイト・ミュージック』のデジレとか。デジレのナンバー、「Send in the Clowns」をぜひ歌わせたい。
草笛 (メロディーを口ずさんで)あの歌、大好き!
市村 僕は、尊敬する島田正吾先生と、彼が89歳のときにお友達になったんですよ。それから98歳で亡くなるまで、毎年島田先生の一人芝居を観に行った。
正月にリハーサルをして、夏までかけて稽古して、新橋演舞場で1週間の公演をする。それをルーティンにしてらした。島田正吾先生のようになる、というのは僕の目標でもあるんだよね。
草笛 色気のある役者だったわね。
市村 晩年は耳を悪くしてらしたけど、相手の台詞がない一人芝居ならできる。ある程度の年齢になったら、体になにかしら不都合が出てくるのは仕方ないじゃない。
それをどうカバーし、さらにいい演技を目指すかを考えないと。僕の場合、『NINAGAWA・マクベス』で膝をやっちゃってるから。
草笛 じゃあ、踊るのが大変ね。
市村 長くこの仕事を続けるためには膝に負担をかけないダンスしかできなくて、ジャンプやターンがダメなの。それが悔しい。僕はもともと小川亜矢子先生のところでバレエを学んでこの世界に入ったので、歌はあと。だからやっぱり踊りたくてね。