面白い映画なのか?つまらない映画なのか?

面白くない映画、つまらない映画と感じる方の理由をSNS界隈で拾い上げていくと、以下の3つの理由が多いようです。(自分調べ)

理由1:過去作品が強く記憶に残っているから比較してしまう。つまらなくなってしまう。

理由2:既存の映画概念で見るからわからなくなってしまう。つまらなくなってしまう。

理由3:隠喩が多いから理解が追いつかなくなってしまう。つまらなくなってしまう。

これらは、なんの説明もなかったので仕方のないことです。前半が、宮崎監督自身の体験をもとに描かれた、空襲や疎開した田舎のこと、亡くなった実母の妹を母親として受け入れられなかったという複雑な思い、学校での人間関係に悩んだことなどを「歴史描写」として描いてます。一方後半は、宮崎監督の脳の奥深くにある「人生の葛藤」や「生きてくための難しさや歓び」を描いています。

「事前情報なしに観てほしい」という宮崎監督の想いに逆らうことになりますし、あまりネタバレもしたくないので詳細の解説を避けますが、後半では宮崎監督の脳の奥底にある「人生の葛藤」や「生きてくための難しさや歓び」を「ファンタジー形式」で描いています。単純に前半・後半で内容が違うのではなく、形式にもひねりがあるので、理解を難しくさせているのです。

さらにこの作品の難解さを増している原因の1つのは、隠喩などを多用していることです。しかしそれらの描写が理解できなくても「そういう感じなのね」と受け止めてしまえば、つまり、「考えるな!感じろ!」的な受け止め方をすれば、成立してしまうのです。「現代アート」のような芸術作品を観る感覚と言えばおわかりになるでしょうか。まさに本作品の題名でありテーマである「君たちはどう生きるか」を、「僕たちはどう生きるか」に脳内変換して観ればよいのです。

では、評価が分かれる複雑な映画なのに、なぜ大ヒットしているのでしょうか?その理由は、宮崎監督の盟友・鈴木敏夫プロデューサーの技法にあります。そのことも理解できたら、あなたもひょっとすると、面白い映画だと感じるかもしれません。本当に必要な情報を見極めるために、鈴木プロデューサーの頭の中を覗いてみましょう。鈴木プロデューサーにとっても、本作品のプロデュースが遺作になるのでしょうから。