満足度が高い人は最初から深い場所に飛び込んでいる

評価が分かれる理由は、そもそも映画の概念が「ハリウッド映画と日本映画」の対局構造になっているからでしょう。

世界的に売れているのはハリウッド映画。多くの人は売れているタイプを基準にエンタメとして映画を考えがちです。宮崎アニメは日本映画の一部ですが、今回の『君たちは~』の評価が分かれているのは従来の土俵で考えているからです。

この対局構造から「一層深い場所」にいるのが本作品です。つまらないと感じている人はエンタメ感覚が無いとか、伏線が回収されていない等、既存の映画概念で観ようとしています。対して、面白い、満足度が高いと感じる人は、「一層深い場所」に最初から飛び込んでいるように見えます。

宮崎ファンで、その想いを汲み取ろうと心の準備が出来ている人には、映画ジャンルや既存エンタメ概念は必要ありません。だってファンなのですから。信頼関係がすでに醸成されているので、理由などなくても観られるわけです。「村上春樹作品ならすべて読む」「サザンやユーミンの曲なら聴く」などと構造が似ています。

重要な点は、本作品の構造は、この作品の前半の「宮崎監督の体験的物語」と後半の「脳の深くにある人生観・死生観の物語」で展開が変わることです。

ではなぜ評価が分かれるのか。面白い映画なのか?難しい映画なのか?
その理由が宮崎監督が引退を覆しても作った本作品の想いにつながるので、もう少し深掘りしてみましょう。