第5回野間出版文化賞を受賞した棋士の藤井聡太さん(撮影◎本社 奥西義和)
棋士の藤井聡太さんが、第5回野間出版文化賞を受賞し、贈呈式にて登壇。同賞は「書籍・雑誌などの従来の出版の枠にとらわれず、出版にまつわるすぐれた表現活動を行った個人・団体などを顕彰すること」を目的としています。第5回となる今回は、芦田愛菜さん、黒柳徹子さん、藤井聡太さんが受賞しました(特別賞にTBSプロデューサーの福澤克雄さん)。12月15日に開催された贈呈式での藤井聡太さんのスピーチを全文掲載します。(撮影◎本社 奥西義和)

藤井聡太さんの受賞スピーチ【全文掲載】

「将棋の棋士の藤井聡太と申します。このたび野間出版文化賞をいただきましたことを大変光栄に思っております。

『見る将』という言葉が示すように、近年では対局が多く動画中継されるようになったことに加えて、そのなかでAIによる形勢判断が表示されることで、本当に多くの方に将棋を見て楽しんでいただけるようになりました。

それによって対局の指し手だけではなく、それぞれの対局者のバックグラウンドであったり、また対局中の食事、あるいは和服など、本当にさまざまなところにスポットライトが当たるようになったと感じています。

そうした流れのなかで、将棋に関連する本や雑誌も多く出版され、またインターネット上でも将棋に関するさまざまなことが発信されています。そのことは将棋をより深く、また多角的に楽しむことに大きく寄与しているのはもちろん、将棋の世界そのものをより豊かにしているというふうに思っています。

『棋は対話なり』という言葉がありますが、将棋は勝負である一方、対局者同士のコミニケーションでもあるのかなというふうに思っています。今後もそういった出版を通して将棋のさまざまな魅力を伝えていただけたら、本当に嬉しく思います。

私自身も盤上で魅力のあるストーリーが表現できるよう、今後も努めてまいりたいと思います。本日は本当にありがとうございました」