英和 うちのお父ちゃんは、商売人だからしっかりしてる。大阪の市場で漬物屋をしていて、お母ちゃんと一緒に汗水流して働いていたんです。新聞の株式欄を眺めて株を買っていた父を、小学生の頃に横目で見てたら、「お前も買ってみるか?」と言われてね。
佳子 実際に、買ってみたの?
英和 うん、それまで貯めていたお年玉をはたいて鉄鋼会社の株を買ってみた。中学生になった頃、値上がりしたので売っぱらってそれっきり。お父ちゃんは僕にもお金の話をようしてたけど、真剣に聞いたことはぜんぜんない。
佳子 もったいない! とは言え、私自身もお金のことなんてまったく考えずに大人になったから、お義父さんの話を聞いて初めて、「家庭を持つなら、お互いにどれくらいの収入があって、どれだけの生活費が必要なのか」をきちんと知っておかなきゃいけないんだと気づかされたのよ。
英和 お父ちゃんの話を聞いてくれて、ありがとうな。
佳子 お義父さんからは、「お金は心の余裕を生むから、何か起きても安心して暮らせるだけの現金は貯めておくように」とか、「借金したときは、まとまったお金ができたら一括で返しなさい」とか、いろいろと教えてもらいました。
英和 え、うちには借金があるの?
佳子 もう完済したけど、まさかの展開で、成城にこんなに大きな家を買ったときに、銀行からお金を借りました。子どもたちの幼稚園に近いからと、試しに内見したときは、何年も人が住んでなかったので草ぼうぼうのゴミ屋敷だったけど、この見晴らしのよさが2人とも気に入って決めたのよね。
英和 この家がいくらだったのかとかも、僕はぜんぜん知らない。(笑)
佳子 芸能界の仕事は収入が不安定なので、大変でした。かずくんを大阪時代から応援してくれていた銀行マンが奔走してくれたおかげで、なんとか住宅ローンが組めたのよ。
英和 ありがたいなあ。結婚以来、お金のことは全部、佳子ちゃんにまかせっきり。自分がいくら稼いでいるかも知らない。わかっているのは、いまズボンのポケットの中に入っているお小遣いの額だけ。このクリップで留めてある、お札と小銭が僕の全財産だから。
佳子 おしゃれなマネークリップじゃなくて、文房具のクリップよね。そのポケットの全財産をすぐにパッと使っちゃう。だから、毎月決まった額のお小遣いをあげているのに、「足りない」って、しょっちゅうねだりにくるし。
英和 うちはお小遣い制です。せっせとお茶碗を洗ったり、庭掃除をしたりして、「お小遣い、アップしてください」って必死にアピールしてるつもりなんやけど、いつの間にか皿洗いも庭掃除も僕の担当になっていて。ほとんどタダ働きになっているのは、なんとかしてもらえないでしょうか。(笑)