多くの苦難を乗り越えてきた

何度挫折しても、その経験をエネルギーにしてひたむきに進んでいく《雑草魂》は、まさにOSKの信条です。現トップスターの楊琳(やんりん)さんはよく「OSKの魅力は生命力」と表現するのですが、私も大好きな言葉です。

朝ドラでも描かれていたように、劇団は多くの苦難を乗り越えてきました。労働争議があったり戦争をくぐりぬけたり。中でもOSKとしての最大の危機は、2002年に当時の親会社から支援の打ち切りを通告され、劇団がいったん解散を余儀なくされたことでしょう。

しかし当時の先輩たちは「OSK存続の会」を立ち上げ、署名活動を行い、ファンや支援者の皆様の応援のおかげで劇団の再建を果たすことができました。そうした歴史を知り、闘ってきた先輩方のお話を実際に聞くと、その精神と伝統は決して絶やしてはいけないと思います。

舞台に立てること、お客様に観ていただけること。そのすべてが「当たり前じゃない」ことを私自身が強く実感したのが、コロナ禍でした。緊急事態宣言で、予定されていた公演は中止、劇団員も2020年4月から3ヵ月間はステイホーム。最初の1ヵ月は呆然としていました。そのうちに仲間から「マスクを作ろう!」という話が持ち上がったのです。普段、自分の衣装直しをしている縫物のスキルを生かし、布マスクを作って施設や団体などにお配りしました。

その年の8月には、OSKのレビューを通年で楽しめる専用スペースがオープン。最初はお客様を入れることができませんでしたが、ライブ配信の機材を備えていたため、配信を始めました。普段の公演と違って、ライブ配信だと1台のカメラをがっつり凝視しながら歌わなきゃいけない。最初は慣れなくて大変でしたが、たくさんの方にOSKを知っていただくよい機会になりました。

そういえば最近テレビの音楽番組で歌わせていただいた時、「カメラから目を離さずに歌う」経験が大いに役立ったんですよ。なんと見事な伏線回収(笑)!どんなことも無駄にしない、次に生かしていくOSK魂が発揮されましたね。