GACKTは「はらたいら」

さらに『格付けチェック』を掘り下げると、人気のイニシアチブを握っているのは、なんといってもGACKTだと、思い知らされる。2009年の登場以来、個人76連勝中というずば抜けた記録を持ち、ついにGACKT専用の回答部屋まで持っていることを、今回の配信で知った。同じ回答部屋に彼がいると、他の回答者が安堵して大したリアクションをしなくなるのが原因らしい。

五感をフル活用して、全身全霊で番組に参加する彼。日々、周囲のあるものをすべての知識に対して、研鑽を積んでいる。かつての放送で「知識は誰にも奪われることのない財産」と、名言を残しているとかなんとか。とにかく、すごい。

我が両親もGACKTを見るために、番組を楽しみにしていると言っても過言ではない。ただ彼のミュージシャンという本職の姿は見たことがなく「とにかく本物を知っている回答者」とだけ、脳内にインプットしている。時折、別番組に出ている彼を見てうれしそうにしているのは、完全に『格付けチェック』の影響である。

ええと……この光景どこかで……? と海馬を動かすと、思い返したのはまたもや往年のクイズ番組である『クイズダービー』(TBS系・1976年)……の、回答者である故・はらたいらさん。こちらの番組、さまざまなジャンルのクイズが飛び出す。で、当てそうな回答者に著名人出場者たちが、ダービーのごとく持ち点を賭けるのだ。

この番組で博識ぶりを披露したのは、前述のはらたいらさん。とにかく何でも知っていて、彼がまれに回答を間違えると落胆した。「はらたいらさんに、3000点」と番組中のコールの真似をしながら、本気で応援していた。が、私ははらさんが著名な漫画家、随筆家であることをさっぱり知らなかった。“とにかくクイズに強い、はらさん”としかイメージがなかったのだ。

おそらく、今、格付けを見ている老若男女の視聴者の中にも、同じ気持ちの人がいると思う。“とにかく本物を知っているGACKT”とだけ、インプットされている、我が両親と同じ人たち。でも間違っていない。元日だけに会える、自分たちの高揚感を高めてくれる人なのだ。