”作家”兼“プロデューサー”で出演者でもある厳しさ
欽ちゃんと二郎さん(坂上二郎さん)の「コント55号」も、「ザ・ドリフターズ」も、その昔は観客の皆さんの前でコントをすることが多かったものです。特に“ドリフ”は『8時だヨ!全員集合』(TBS系)のように、毎週、各地の会場に大掛かりなセットを組んで生放送でコントを見せるということは、本当に大変なことだったと思います。
「コント55号」は、それほど大きなセットを使っていませんでしたが、それでも一番組で何本ものコントを見せていらした……。出ている御本人たちはもちろんのこと、“作家”でもあり、“プロデューサー”でもある、長さん(いかりやさん)や欽ちゃんの傍にいるスタッフの皆さんはどれだけ大変だったか……。
会議中、テーブルに手帖だけ置いて、どこかに行ってしまって帰って来てくれなかった…というエピソードは欽ちゃんのものだったか長さんのものだったか……。もしかしたら、お二人共だったかもしれません。そんな話を放送作家の大先輩からは度々聞かされていたものです。
だから今春、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)で小泉孝太郎さんと共演させていただいた際、俳優の小泉孝太郎さんにもっとも優しく演技を説いてくれたのが、いかりや長介さんだった…という話を聞いて、ビックリしてしまいました。思わず、前段の話をし、「私が先輩作家から聞いている、いかりやさんのエピソードとあまりにも違い過ぎるので」と本番でも言ってしまいました。晩年の…というか、俳優・いかりや長介さんは、自身に“よそ者”という自覚がおありだったため、新人の小泉孝太郎さんの当時の気持ちを理解してくださっていたのではないかと思います。