写真提供:新潮社

評論、イラスト、編み物まで、マルチに活動した異才の小説家

1977年、高校生の日常を描いた「桃尻娘(ももじりむすめ)」で小説家としてデビューし、尾崎紅葉の『金色夜叉』をもとに書き改めて平成に甦らせた長編小説、『黄金夜界』(中央公論新社)が最後の小説となった橋本治(1948~2019)。作家デビュー前、すでにイラストレーターとして活躍していたほか、評論、舞台演出、編み物、古典文学の現代語訳や翻案、文学作品のオマージュなど、マルチな才を持ち、活動の場を広げていました。
未知の分野に踏み込む原動力は、「わからないことを解明したい」という思いだったといいます。その成果は膨大な数の作品となり、人々の心をうるおし続けています。

神奈川近代文学館では、2019年以降、家族や関係者によって寄贈された橋本治にまつわるさまざまな資料を、〈橋本治文庫〉として保存。今回の回顧展では、時代を先取りし、人間と人間の生きた時代を描き出そうとした彼の生涯を、所蔵資料を中心にたどります。


【第19回駒場祭ポスター原画】
1968年11月23日~24日に開催された、東京大学の学園祭ポスター。在学中に描いたという、この任侠映画を彷彿とさせる印象的なデザインが、東大闘争のさなかで大きな注目を浴び、橋本治の名を全国で一躍有名にしました。

第19回駒場祭ポスター原画(神奈川近代文学館蔵)


【カーディガン「花見幕」】
学生時代から編み物を得意としていた橋本治の編んだセーター。型紙を作って編んだという精緻な編み込みのセーターなどが話題となり、編み方の指南書『男の編み物、橋本治の手トリ足トリ』を刊行するに至りました。また、1984年には「楽しいニット」と題したファッションショーも開催しています。

カーディガン「花見幕」(神奈川近代文学館蔵)


【「桃尻娘」原稿】
第29回「小説現代」新人賞佳作として、「Gen」1977年12月号に掲載。高校生4人を主人公にシリーズ化され、彼女らの成長を深い愛着を持って見守りながら、1990年まで大切に書き継いだ青春小説の生原稿です。

「桃尻娘」原稿(講談社蔵)


また、「桃尻娘」シリーズの最終章は、本展の会場、神奈川近代文学館のある「港の見える丘公園」にて、未来への希望を示唆して締めくくられます。まさに小説の舞台となった場所で、橋本治の描いた作品世界に浸ってみてはいかがでしょうか。


【応募締め切り日】4月25日(木)
※当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます(4月26日頃予定)
 

■開催概要
特別展「帰って来た橋本治展」
会期:2024年3月30日(土)~6月2日(日)
休館日:月曜日(4月29日、5月6日は開館)
開館時間:9時30分~17時 ※入館は16時30分まで
会場:神奈川近代文学館(横浜市中区山手町110)
   東急東横線直通・みなとみらい線 元町・中華街駅6番出口から徒歩10分
観覧料:一般700円、65歳以上・20歳未満及び学生350円、高校生100円、中学生以下無料

編集委員:松家仁之
主催:県立神奈川近代文学館、公益財団法人神奈川文学振興会
後援:NHK横浜放送局、FMヨコハマ、神奈川新聞社、tvk
協賛:新潮社、中央公論新社、京急電鉄、相模鉄道、東急電鉄、横浜高速鉄道、神奈川近代文学館を支援(サポート)する会
広報協力:KAAT 神奈川芸術劇場

お問い合わせ:公益財団法人神奈川文学振興会 TEL: 045-622-6666


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