開運を望む一心でツアーに参加

高島が吉方位とあれば、風水的にも期待ができる。さっそく高島行きのツアーを調べて旅行会社に電話したところ、すでに催行は決定しており、私でちょうど満員になった。電話口からは、「お客さん、ラッキーですよお」と担当者の声。

とにかく人気のツアーで、今回もすぐに定員が埋まったものの、私が問い合わせる直前に1人キャンセルが出たそうだ。グッドタイミング! ここでも神様の計らいを感じずにはいられなかった。

そして12月の快晴の日、私は福岡空港に降り立った。機内で隣に座っていたツアー客のマダムは風水愛好者で、意気投合。合流した関西組の男女十数人ともすぐ打ち解けた。宝くじを当てたい、運気を上げたいという一心で参加した夢いっぱいの人ばかり。

バスでの移動中も和気あいあいとした雰囲気で、途中で購入した年末ジャンボに思いを馳せ、まるでもう当選したかのように盛り上がっている。

1時間ほどで、唐津城の足元の桟橋に着いた。高島行きの船に乗り、出航まで窓辺の席で一人ぼんやり波間を眺める。と、視界に1羽の灰色の鳥が現れ、猛スピードで一直線に頭から水中に突入した。驚いている間に鳥は大きな魚をくわえながら水面から躍り出て、高島のほうへと飛び去っていく。

神々しい光景だったので関西組の女性に話すと、「めっちゃ縁起ええやん」と手を打った。遠くからも「当たるよお、宝くじ!」と声が飛び、船中が活気づく。しかも添乗員いわく、前回のツアー参加者から億万長者が1人出たとのこと。

気をよくした私は、ツアー同行者の面々に「その時は、何かご馳走しますね」と気前よく答え、一行のテンションは最高潮に。船は高島の桟橋に10分足らずで接岸した。