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ライター・しろぼしマーサさんは、企業向けの業界新聞社で記者として38年間勤務しながら家族の看護・介護を務めてきました。その辛い時期、心の支えになったのが大相撲観戦だったと言います。家族を見送った今、70代一人暮らしの日々を綴ります。

 「遅いじゃないか」と文句を言われた

ひとり暮らしの50代の友人が、「驚かないでよ」と前置きをしてから私に話した。

彼女が自宅の窓ガラスを拭いていたら、後ろから「捨てられちゃったの?」という声がした。驚いて後ろを振り向いたが、誰もいない。下を見たら、旅行にでかけた姉夫婦から預かった6歳の猫がいた。

彼女は、かなり驚いたが、「捨てられたんじゃないよ。5日したら帰ってくるよ」と言った。すると猫は、「ニャーニャ」と鳴き、彼女には「そうか」と聞こえたそうだ。

私は猫に文句を言われた経験があるので、その話に驚かなかった。東京都内に住んでいた30年以上前のことだ。残業で遅くなり、自宅近くの夜道を歩き、街灯の下に来た時だった。猫が現れて私を見上げ、口を尖らすというか、髭の部分を尖らして、「なにやっていたんだ。遅いじゃないか」と怒ったように言った。街灯の明かりで、近所の家の猫だとわかった。

私は驚愕して、「えっ、ええー!?」と猫を見下ろしながら大声を出した。

すると猫は、「なにやっていたんだ。遅いじゃないか」と再び言ってから去った。

ニャーの発声を基本に、人間の言葉のイントネーションにしているようだが、はっきりと「なにやっていたんだ。遅いじゃないか」という文句に聞こえた。

家に帰って母に報告すると、母は全く驚かなかった。「あの猫を飼っている家の奥さんは仕事が忙しいから帰りが遅いんだよ。旦那さんがよく文句を言うんじゃないの? それを猫が覚えてしまって、夜道を歩く女の人がいると、誰にでも文句を言っているのかもしれない。妹(私の叔母)も、可愛がっていた猫とよく会話をしていたよ」と、話していた。