「まとめて話す」はアイデアを出す目的には向いていない

ところで、とかくグループで話し合いをする場合には、自分の順番が回ってきた時に、つい、一度にまとめてあれもこれも言ってしまうということはないでしょうか。

会議などでよく見かけるのは、全員が平等に発言できるようにとの議長の配慮から、席の並びなどで発話の順番を決めて、その順に意見を言っていくという方法です。

実は、このようにまとめて多くのことを一度に話すというスタイルは、グループで互いに刺激し合いながらアイデアを出すという目的には、あまり向いていません。

以前、教師教育の演習の中で、各メンバーが自分のアイデアをまとめて話す場合と、交替しながら少しずつ話す場合とで、アイデアの出方を比較したことがあります*2。

三人ずつのグループを作り、学生がもっと熱心に勉強するよう仕向けるにはどうすればよいかを、教師の視点に立って考えアイデアを出すという課題のもとで、学生たちに話し合ってもらいました。

すると、一人ひとりが自分の考えをまとめて一度に話しているグループよりも、頻繁に発話交替を行っているグループの方が、グループ全体として、解決につながる多くのアイデアを産出する傾向がありました。

頻繁に発話交替を行う方が、解決につながるアイデアを産出する傾向がある(写真提供:写真AC)