廬山寺の「源氏庭」

白砂が敷かれた本堂前の庭は「源氏庭」と呼ばれています。6月から9月にかけて、紫式部にちなんで植えられた紫の桔梗がこの「源氏庭」に咲く――そう聞いて、昨夏、廬山寺を訪れました。

平安時代の雅を伝える本堂前の「源氏庭」

山門には「桔梗 咲いています」と書かれた大きな看板が。大河ドラマの放送前ということもあってか、それほどの混雑ではなかったものの、参拝客にはやはり女性の姿が目立ちました。

現在の本堂は18世紀末に仙洞御所の一部を移築したもの。明治維新までは、宮中の仏事を司る寺院のひとつだったそうです。

苔を配した風情ある庭を眺めていると、時間が静かに流れていきます。風に揺れる桔梗の花は、紫式部のように凛として美しく、白砂に映えます。

『光る君へ』では、清少納言が「ききょう」と呼ばれていて少々ややこしいのですが、やはりこの寺では、紫式部を思い浮かべながら桔梗を愛でたいところです。