街で声をかけていただけると嬉しいのに嬉しそうな顔ができません。そのくせ承認欲求は高い方で…(撮影◎本社 奥西義和)

「モテたい」よりも優先すること

医師免許を取得し、研修医も終えてからNSCに入り、28歳の時、晴れて芸人になりました。

そしていつの間にやら僕も40歳で、中堅になってきたんですよね。今はピン芸人なのですけれど、時々「おばあちゃん」という吉本芸人の相方と漫才をしています。僕が医師で、患者を演じて下さる77歳の女性で、正真正銘のおばあちゃん。本にも書きましたけれど、セリフや段取りを忘れちゃう時があるので、臨機応変にやっています。声も普段より張って、おばあちゃんに聞こえないことがないように気をつけたり、何度も確認したり、いろんな患者さんから学ばせていただいたことがここにいきているかもしれません。

芸歴は14年になりますが、割と人見知りの方なので、街で声をかけていただけると嬉しいのに嬉しそうな顔ができません。そのくせ承認欲求は高い方で、「いいね」も普通に欲しいタイプ(笑)。モテたいって思ってきました。

今回の本のタイトルはと言えば、自分も含めて周りが少しずつ変わってきて、「モテたい」とか「あそこに美味い店がある」という話題の比重に比べて、健康の話が多くなってきたなぁという率直な思いからつけました。50代の友人に聞いたら、もっとだって聞きましたし。

本には、健康でいるための話はもちろん、女性の生理についても書いています。男性が生理をタブー化する時代はもう終わったというか、娘にも話ができたらいいと思います。僕の母は、昔からいろんなシチュエーションで男女を分けることに反対で、僕の通っていた学校に対して成績順位を男女別に発表することを抗議した人です。女性と男性が対等という感覚はそんな母のおかげで自然と身につけられました。女性のための経口避妊薬に反対することは前時代的な老害ですし、そういった昭和的価値観は早く退散すべきかなと思います。

『40歳になるとなぜ健康の話ばかりしてしまうのか?』(著:しゅんしゅんクリニックP/ワニブックス)

年配の方は「近頃はつまらない時代になった」って言う人も多いんですけど、僕としては今の時代の方が生きやすい感覚です。昭和より令和感覚の方が昔から肌に合っていたと思います。例えばですが、12時から1時間休みをとるべき看護師さんに、午前中暇な時間が1時間あったんだから、昼休み返上して働いてよっていう経営者は嫌なんです。待機時間も働いている時間だと思いますし、それとは別にちゃんと休む権利があると思います。手術や仕事の後、だらだら先輩医師に引っ張られてしゃべったりする時間も嫌い。そこは時給をくださいと言いたい。あ、話の内容によるんですけどね。面白かったらいいです(笑)。