労働者の権利と生活を守らないと、だめじゃない?

提供◎さかもとさん

高校生だった当時の私は、「サッチャー、かっこいい」くらいにしか思わなかったが、この『リトル・ダンサー』を見ると、「ビリーのパパが熱を入れる組合運動を応援したい」と思ってしまう!

若いころは社会主義運動だの組合運動だのと言う言葉だけで、「なんかこわーい」印象を受けた。でも、現代日本の政治の腐敗、広がる貧富と教育の格差を見るにつけ、「労働者の権利と生活を守らないと、だめじゃない?」と思ってしまうのだ。

まして自分は、「親のやる気と経済基盤がなく、望んだ教育は受けられない」という敗北感に悩まされた。なので、「ビリー・エリオット」を取り巻く人々の生活や苦悩に、ひどく共感してしまう!

舞台『ビリー・エリオット リトル・ダンサー』【2020年公演より 撮影:田中亜紀】“SOLIDARITY” 中央左:柚希礼音 中央右:渡部出日寿

しかし父のジャッキー(演じたのはゲイリー・ルイス)は、ビリーがバレエを習い始めたと知って激怒。バレエを続けさせるよう説得に来たバレエ教師を追い出し、ビリーを殺すほど殴るのではという修羅場を経たのち、息子の踊る姿を見て、遂にロイヤル・バレエ団受験を応援すると決意する。

けれどその為には養育費を稼がねばならない。よってジャッキーは、組合運動から手をひく。其れはどれだけハートブレイクな選択だったろう。