じいちゃんは一人しかいないから

秀介 出演したテレビ番組で、難病の母のために仕事を辞めた人と出会って、自分の一番大切なものを考え直したんだ。じいちゃんを最期まで看ることを中心に、仕事を自分で調整できるほうがいいと思ったの。本人に直接言うことじゃないけど(笑)。

もう「親孝行」はできないけれど、じいちゃんは生きてる。お笑いの仕事は劇場に立つばかりじゃないし、やろうと思えばいくらでも方法はあるけど、じいちゃんは一人だから。

廣喜 秀介が自分で決めたことなら嬉しいよ。

秀介 昔からじいちゃんのことが好きで、友だちがいなくて寂しかった時も、じいちゃんの布団によく潜り込んでた。老人扱いしないから厳しいかもしれないけれど、周りを頼りつつお世話していくよ。ところで、じいちゃんは今なにがしたい?

廣喜 これっていうのはないけど、温泉に行きたいね。

秀介 去年、行ったばかりよ(笑)。覚えてる?

廣喜 箱根の湖の近くだろ。

秀介 惜しい。山梨でした!

廣喜 部屋にお風呂があった。

秀介 思い出が残っていてよかった。元気でいればまた行けるからね。初めてお風呂に入れたりうんちを拭いたりした時は、「これが介護か」とげんなりしたけれど、今はすっかり慣れて気分は「エンタメ介護」。僕もじいちゃんとの毎日を楽しんでいるよ。