家族愛の強い人だった

ひばりさんの家族愛はすごかったです。おかあさんの喜美枝さんが自分のために生きているということで、弟さんたちが寂しい思いをしてしまったのではないかという気持ちからか、自分の家族のためにできることはなんでもやってあげようという気持ちが強かった。それはいい時もあるけれど、弟さんたちが反発することもある。僕は哲也さんとも話したことがあるけれど、結果として家族運が薄くなってしまったのは気の毒でしたね。

それだけに、和也くんの存在は大きかったです。本当に溺愛していた。ただ、和也くんは和也くんで結構言いたいことを言ってたみたいですね。

そんなひばりさんが福岡の病院に入院したときいて、僕、お見舞いに行ったんです。5,6分会えればいいかなというつもりだったのですが、誰もいなくて、1時間ぐらい話ができた。裕次郎さんが亡くなったあとで、そんな話になってしまったときにひばりさんは、枕元のティッシュをとって思わず涙を拭いていました。それで、自分が具合が悪いのに、まだ若くて仕事三昧の僕に「ひろしも身体に気をつけてよ」なんて心配してくれて、帰り際にハグして別れました。

その後、僕は、自分が結婚して幸せの絶頂のときに、ひばりさんは病と闘いながら不安でいっぱいのつらい時期を過ごしていらしたんだと思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになるんです。

ひばりさんを真ん中に、和さん(左)と五木さん(写真提供◎五木さん)