<関田誠大>
セッター、175cm、71kg。1993年東京都生まれ。小中高すべてで全国制覇を成し遂げ、在籍した中央大学でも2学年下の石川とともに日本一に輝いた。2021年の東京五輪後は世界最高峰のポーランドリーグでプレー。トスだけでなくサーブにも定評がある(写真提供◎アフロスポーツ)

セッターとリベロ――日本の生命線

そしてバレーボールには石川、高橋のような《エース》と呼ばれる存在に対し、目立たずとも重要なポジションがある。セッターとリベロだ。

自らのスパイクで華麗に得点を叩き出すアタッカー陣と異なり、セッターはトスでボールを託し、リベロはレシーブでつなぐ。バレーボールにおける《縁の下の力持ち》。間違いなく、日本の生命線だ。

高さが物言うバレーボールで、セッター関田誠大(せきた・まさひろ)の身長は175センチ。日本の中でも高さは劣る。事実、高さのあるセッターでなければ世界とは勝負できないと、聞き飽きるほど負の評価がつきまとってきた。だが関田は圧倒的な技術で周囲を黙らせる。

さまざまな場所から攻撃のための助走に入るアタッカーに、より打ちやすい高さ、タイミングのトスを供給。「関田のトスは間違いなくここに来る」というアタッカーからの全幅の信頼があるからこそ、複数人で前衛、後衛から同時にスタートできる。そうなれば相手ブロッカーは、「どこから攻めてくるのか」と、的を絞ることができない。

そこで、してやったり、とばかりに、相手ブロッカーが待ち構えていない場所へトスを上げる。バレーボールは身長ではない、と証明するような鮮やかさだ。世界一とも言うべき精度を誇る関田のトスワークに注目してほしい。