いくよさんへのあふれる思い

「コンビニに行ったら、かき氷の『みぞれ』ってありますやん。あれを見たら、ダメなんですよね。こらえなアカンのですけど。いくよちゃん、好きやったから」。

「家に帰ってテレビをつけて、面白い番組があると携帯電話を持つんです。『いくよちゃんに教えたげよ』と思って。その瞬間、ハッと気づくんです。『あ、いないんや』と。いるのが当たり前の世界。いない世界は知らないんでね。アタマが追いついてません」

「この前『中川家』のライブに呼んでもらって、いくよちゃん役の剛君と私役の礼二君と『今いくよ・くるよ・くるよ』としてトリオ漫才をしたんです。剛君が本当にいくよちゃんに似ててね。ほんで、靴を見たら黒やったんです。いくよちゃん、赤の衣装を着る時はいつも靴は黒と決まっていて。そんなところまでいくよちゃんのことを見てくれてたんやとうれしくもなるし、そんな一つ一つに出くわす度に、いくよちゃんが『前に行きよし!』と言うてくれてる気がしてならんのです」

「ずっと、治ると信じていました。受け答えができなくなっても『今はしんどいだけで、すぐまた戻る』と、最後の最後まで思っていました。だから血圧や脈拍の画面を見て、数値がゼロになった時も、それがどういうことなのか、まったくピンときませんでした」

「最後に話したのは亡くなる3日前。看護師から名前を呼ばれたいくよちゃんが『里谷正子、28歳です』と言ったんで、私が『ナイスギャグ!』と返しました。それに笑ってくれていたし、息を引き取る瞬間も笑っていたんです。心配かけんとこうと気を遣ってたんですかね」

言葉の一つ一つからいくよさんへの思いがあふれている。改めてそれを痛感しますが、いくよさんにはもちろんのこと、周りのあらゆる芸人さんにも気遣いややさしさを振りまき続けました。