くるよさんはとことん芸人だった

楽屋で若手芸人を見つけては食事に連れていき「食べよし!飲みよし!」と大盤振る舞い。恩義を感じている芸人さんは枚挙にいとまがありません。

さらに、後輩芸人や吉本興業の社員さんと顔を合わせると、弾けるような笑顔で声をかけます。

「いつも男前やんかいさ。まるで福山雅治やないの!」「ちょっと、向井理やないの!」。本当に似ているかどうかは別にして、それを言われて悪い気など起こるわけがないというハッピーワードを振りまきます。僭越ながら、僕も「あら、ブラッド・ピットやんかいさ~」と身に余るお言葉を頂戴しました。

ある日の楽屋では、たまたま多くの社員さんや芸人さんがいたため「あら、木村拓哉やないの!」「竹野内豊やないの!」「佐藤浩市やないの!」と立て続けに誉めていく展開となり、最後の方には、さすがに“カード”が切れてしまい「いや、男前やん!ジャニーズやんかいさ!」と個人名ではなく、ジャンルで誉めるということもありました。それくらい、とことん、周りにやさしさを振りまく人でした。

「どやさ」ポーズのくるよさん(写真提供◎吉本興業)

「人をご機嫌にする」。それが芸人さんの仕事とするならば、くるよさんはとことん芸人だったと思います。そして、貯めに貯めた人間としての“貯金”で、今はいくよさんと楽しく過ごしている。それも強く思います。