同じように苦しんでいる人に知ってほしい

あとから私たちの離婚のことを知った人の話では、彼は、私がそのうち自分のもとに帰ってくるだろうと踏んでいたらしい。だからこそ離婚にすんなり応じた(フリをした)のかもしれない。それが財産分与の念書の段階まで来て、ことの重大さに気づいたのだろう。

その後、東京のアパートに落ち着き、新しい仕事も決まった私は、第2の独身時代を楽しむ生活に。友人たちには「結婚に懲りたなんて言わないでね」と励まされたが、懲りるどころか、離婚の3ヵ月後には、現在の夫との結婚を決め、その翌年に白無垢まで着てしまった。今の夫は大学の後輩で、私がバツイチと知ったうえでの結婚。その後、子どもにも恵まれて現在に至る。

前夫と結婚していた間は子どもを授からないことに悩んでいたが、むしろよかったと思う。ときにはやさしさも見せた彼の暴言や態度が、モラハラにあたると気づいたのはだいぶ後になってからだ。同じような経験をして、苦しんでいる人がいたら知っていただければと思い、体験を綴ってみた。

その後、前夫とは一度も会っていない。サークルの会報を見て、定年退職したらしいことを知るのみ。風の噂では、再婚せず独身のままであるらしい。あれほど「結婚し直す」と公言していたのに、なぜ結婚しないのだろうと不思議だが、私にはもう関係ないということだけはたしかだ。


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