「家族みんなで出かけたり食事に行ったり、『家族がいつも一緒』っていうのが僕は好きだったんですね」

妻には頭が上がらない

4人全員の子育てすべてをフルでできたとは言えない僕に比べて、妻は本当にすごいと思います。全員男の子でスポーツをやっていたこともあり、1回の食事で肉なら2㎏、手羽先なら100本必要です。それだけの食事の用意をするのも一苦労だった上に、ときには息子たちが親に反抗することもありました。それでもひるまず、例えば野球をやって疲れ切って帰ってきた息子たちに対して、泥だらけのユニフォームを「自分で洗濯しなさい」って言わなきゃいけない。自分でユニフォームを洗濯することが、少年野球を始めるにあたっての我が家の約束だったんですよ。僕なんか甘いから、練習でクタクタになっている息子を見ると、つい「俺が洗っておこうか?」なんて言いたくなるんですけどね。(笑) 

妻が息子を叱っている最中に帰宅して、事情も知らずに「もう、その辺でいいんじゃない?」なんてうっかり口を挟んで、妻とケンカになったことも多々ありました。

妻の何が素晴らしいって、親として言わなきゃいけないことを子どもたちにいつもきちんと伝えていたことです。宝塚の舞台に立ってスポットライトを浴びていた彼女が仕事をスッパリ辞めて、ずっと子ども中心の生活で。舞台に出ないかというお話があっても、5年に1回とか、どうしても彼女が出ないとマズイという場合だけ引き受けて、あとはすべて断って子育てに全力で向き合ってくれました。

一応お伝えしておくと、僕が仕事をやらせなかったわけではありません。僕は「やりたい仕事があれば、やりなよ」って勧めてはいたのですが、妻は「やらない」と。子どもが小さいときはなるべく側にいたい。あのときこうしておけばよかった、あれをやってあげればよかったと後悔したくないから、一番下の子が中学生くらいになるまでは仕事はしない、と。そんな妻のおかげで、4人ともとくに大きな問題もなく、無事に成長できたのだと思います。本当に、頭が上がりません。

『いばらない生き方 テレビタレントの仕事術』(著:中山秀征/新潮社)