日本の「可処分所得」の現状

岩本 同資料では、先進国の1人あたり実質賃金の推移を比べているのですが、1991年から2019年にかけて、英国は1.48倍、米国は1.41倍、フランスとドイツは1.34倍に上昇したのに対して、日本は1.05倍。

そんな中での家計消費ですが、1990年から2019年にかけて、米国は2.16倍、英国は1.90倍、フランスは1.55倍、ドイツは1.42倍。対して、日本の家計消費は1.3倍の伸びです。

『日本経済 本当はどうなってる?』(著:生島ヒロシ・岩本さゆみ/青春出版社)

生島 賃金も伸びていないけど、家計消費も先進国の中では低い!

岩本 収入から税金や社会保険料などを差し引いた、自分で自由に使えるお金(可処分所得)が伸びれば家計消費も伸びるのですが、日本の場合はその可処分所得が伸びてこない状態です。

生島 賃金が伸びてないからですか?

岩本 それもありますが、現役世代の所得水準の低下、シニア層が非正規など低い賃金へとシフトしたこと、消費額が少なくなる高齢者世帯の増加といったことが消費を抑制している側面があると考えられます。

雇用者報酬と可処分所得の伸び率を見ると、雇用者報酬そのものは控えめではありますが伸びているにもかかわらず、可処分所得の伸び率は低い状態です。