眉ペンが一公演でなくなる!?
「舞台の髪形はその公演の時だけ。二度と同じ髪形はできませんね」とうららさん。身につけるかつらは、毎回、自分で役や場面に合わせてアレンジするそうです。特に娘役は、おくれ毛NG。ガッチリ固めるために、「ヘアスプレーは上からかけるのではなく、髪の間にスプレーして、指で整えていました」とのこと。
「髪を染めたり、固めたりしているからヘアケアは大切」で、髪が長いぶん、毎日入念にケア。ヘアアレンジも上手で、うららさんは、しゃべりながらでも自分の髪を花のように結い上げる技を持っているそうです。
「すごいなあ。私は下ろすか、ポニーテールしかできない」と大さん。
「ポニーテール、素敵じゃないですか。今日の髪形もゴールデン・ポイントを押さえていますよね」と、うららさんは、大さんに横を向いてもらって、あご先と耳上を結んだ延長線と後頭部の縦の中心線が交わる箇所で髪を結ぶと美しく見えるのだと、説明してくれました。
「サムライみたいじゃない?」と尋ねる大さん。思わず「ううん。むしろくノ一よ」と言いたくなった私……。
お二人は歌劇団入団時、ともに宙組に配属。大さんがうららさんの7期先輩になります。
うららさんが「入団2年目の宙組の舞台『ファンキー・サンシャイン』(2010年)でアシンメトリーのかつらにしてみたとき、大さんからアドバイスをいただきましたよね」と当時を懐かしむと、「キレイな子にはいろいろ言いたくなるんだよねー」と大さん。
そこには、宝塚ならではの慣習が。
「宝塚では、有望な後輩が入ってくると先輩がいろいろアドバイスするんです。『ああしたほうが良い』『こうしたほうが良い』といろんな人から言われるうちに……何が良いのかわからなくなる(笑)」(大さん)
最終的に大さんが、「これぞ自分」というメイクを完成させたのは、「研10になってから」だそうです(研10とは、舞台に上がって10年目を指します)。
メイクで印象が全く変わる男役。役柄に合わせて眉やもみあげを眉ペンで描きます。なんと、「眉ペンが一公演で1本なくなる」ほどだとか!
そう舞台メイクについて熱く語っていた大さんでしたが、突然ハッとした顔に。
「あ、普段のメイクの話をしないと! もみあげの描き方は皆さんの参考にはなりませんよね!」
一同大爆笑でした。