受講前のさっちゃん

30~40代は、おしゃれとは無縁の生活

50代になったばかりの私が、なぜ「着る」ことをもっと楽しみたいと思ったのか。それは、30~40代はおしゃれとはまったく無縁の生活を送ってきたことが影響しているのかもしれません。28歳で長男を出産し、その後、次男、三男が次々と生まれ、30~40代は子育に追われる毎日で、新しい服を買うヒマなんていっさいなくて。子育て中に着ていたのは「子どもたちと公園に行ける服」か「汚れが目立たない服」ばかり。デザインや色なんて考えている余裕もまったくありませんでした。

正直な話、その頃は、精神的にもいつもイライラしていましたね。58平米の手狭な家の中に男の子が3人ですから、片付けても片付けても家の中は荒れ放題。家事や育児は専業主婦である私の仕事と気負ってしまって、独りで意地になってしまい、夫婦の関係も上手くいっていませんでした。コミニュケーションが苦手な私ひとりだけでは、息子たち3人分の学校行事やPTAの催しの準備なども追いつかず、にっちもさっちもいかなくて……。とはいえ、誰にも相談できない。だったら、自分を変えるしかないのだろう。そう思っていたときに出会ったのが近藤麻理恵さんの『人生がときめく、片付けの魔法』という本。そこに書いてある通りに片付けてみたところ、本当に家の中が片付いたんですよ。そこで、この片付け法をもっと世の中に広めたいと、こんまりさんの講座を受講して、こんまり流(R)片付けシニアコンサルタントの資格も取りました。

ただ、服に関しては、片付けした直後のクローゼットには大満足なのですが、だんだん「もっとときめきたい!」という気持ちもわいてきてしまったのです。なのに、片付け後は「無駄なものを増やしたくない」という思いが勝ってしまい、「失敗しない服を選ぼう」という意識が常に働いてしまって。その結果、新しく買う服はいつも黒、グレー、紺、白という無難な色の服ばかり。こんまりさんのメソッドに沿って、自分では「ときめく服」を選んでいるつもりでも、私自身がどうしても無難な色を選んでしまい、「この服じゃ、ワクワクできない」というモヤモヤ感がずっと胸の奥に溜まっていたのです。