会計年度任用職員の試験に合格し続け

ところで仕事ですが、淑恵さんは目指した国家資格を取得できませんでした。40代半ばで、資格も取れず、就職も決まらず、困っていた時。たまたま、かつて仕事で知り合った人と電車で再会しました。仕事を探しているとこぼしたら、その人が、市内の団体職員の口を紹介してくれました。淑恵さんはそこに勤めながら、ダブルワークでヘルパーとしても働きました。ホームヘルパー1級の資格は、かつて結婚期間に取得していたものです。1時間単位で働けるので、終業後に2本入れるなどして収入を増やしました。さらに調理師免許も取得、知人の喫茶店を手伝った時期もありました。

公的施設で1年ほど事務職として働いた後で、公的機関の嘱託職員に応募したのは2007年でした。非正規職員なので、給料はそれほど高くありません。「もし、家賃が5万円かかっていたら、きつかったと思う。自宅があったから何とかなった」と振り返ります。3年限定採用のはずが、幸運が重なって5年働けました。次の職場を考えていた時に、いまの自治体の採用試験を見つけました。

55歳での受験で、受からないかもと心配しました。でも、前の団体で、同じ分野の専門家として働いていたのが評価されたようです。2012年に嘱託職員として採用されました。専門性と職務内容は変わらずに、組織を移動した格好です。嘱託職員の定年は63歳でしたが、2021年に会計年度任用に制度が変更。再び試験を受けて、会計年度任用職員になりました。1年更新の3年が上限なので65歳までの任用期間。でも65歳時にも再び試験に合格。任期は68歳までですが、特殊な専門性があるため、次の試験も通るかもしれません。そうしたらなんと、71歳まで働き続けられます。

「今の自治体の制度では、副業OKなんです。だから、できれば自分で事業を始めて、個人事業主になりたいと思っています」。副業をするにしても、本業である自治体の会計年度任用職員の立場と収入はキープした上で、です。いまの職務を単純に業務委託で切り出したら、いまの給与よりぐっと減ると見ています。いくつかの自治体から同じ業務を請け負っても、どこも予算が少ないので受託費も安いはず。それでは、とても暮らせないでしょう。「年金もギリギリなので、75歳まで働くかなあと思います」