どんな苦しい状況も笑いに変えるバイタリティー

診断の結果、乳がんと分かりました。右胸は全摘出が必要と言われました。ただ、現代では同時再建手術が可能とのこと。手術が終わって麻酔から目が覚めたら、すでに新しい胸が出来ている、と説明されました。半年ほどかけて、徐々に膨らみを増やして形を整えていくそうです。「子どもを産んでない女性は、乳がんのリスクが高いんですよね」

ただ、幸運なことに、淑恵さんら嘱託職員にも、当時は有給休暇がありました。さらに、淑恵さんの勤務は週末出勤が多い職種で、ふだんから平日に振り替え休日を取っていました。結果、約1ヵ月も手術入院で休みましたが、給料は減りませんでした。「ラッキーでした」。さらに、昔入っていたがん保険も大活躍。保険金が400万円近くも出ました。

さすがに、胸を取る前は感傷的になりました。でも、仕方がありません。命が取られるよりは良いです。「アンジェリーナ・ジョリーが、乳がんリスクが高いからって、予防的に両胸を取りましたよね。あの気持ちがよーく分かりました」。明るい淑恵さん。笑って、再建したバストの利点を教えてくれました。

「知ってます? 再建した胸って垂れないんです。ぴん、って張っている。仰向けに寝ても、流れないで、きれいなお椀型のままなんです。すごいですよね~」

いやはや、タフです。どんな苦しい状況も笑いに変えてしまう淑恵さんのバイタリティーには頭が下がります。だからこそ、浮気の果ての壮絶な離婚話も、いまや笑い話として語れるのでしょう。

手術以来、淑恵さんは「人間の体は食べた物でできている」と実感、食事に気を配るように。大好きだったスイーツは封印。玄米食にして、野菜、キノコ、発酵食品を摂り、牛肉も豚肉もやめました。それまで60キロ近くあり、11号の洋服がきつかったのが、みるみる減量。目標体重の45キロになりました。外食やケーキは、たまに許しますが、いまも体形をキープ。すっかり健康体です。