夫は精神的DV男で結婚前から浮気も
いまの住居にも独り暮らしにも大満足の淑恵さんですが、いつも、結婚していた間だって、一生懸命に生きてきました。婚姻期間中は、「長男の妻」役割を積極的に果たしました。夫の実家は農家で、農業は義弟が継ぎました。実家に近寄りたがらない夫に代わって、淑恵さんは顔を出し、義父母や義弟たちと仲良くしました。米を送ってくれる義弟の田んぼに、毎年、田植えや稲刈りの手伝いにも行きました。
正月には、淑恵さんや義母、義弟の妻たちが、義理の実家の台所で働くのが常でした。義父や夫ら男性陣は飲んで食べてくつろぐだけ。淑恵さんは、女性陣を代表して、妻たちも労って欲しいと義父に直談判。小遣いをもらい、妻たちだけで正月の後に泊まりがけの旅行に行ったことも。長男の「よくできる嫁」として、義父にはかわいがられ、義理の家族には絶大な信頼がありました。
ところが8歳年上の夫は精神的DV男でした。「誰の稼ぎで喰わせてもらっていると思ってるんだ」「俺以上に稼いでみろ」といった常套句で、よく淑恵さんを貶めていました。妻を管理したがった夫は、淑恵さんが外で働くことにいい顔をしません。もともと勤めていた自治体正職員は、夫の転勤で辞めさせられました。でも生活費として渡されるのは計月5万円だけ。全然足りません。家計を補うため、淑恵さんはバイトや非正規で働いてきました。正社員に誘われた時は、夫の反対で辞退しました。
実は、夫の浮気は結婚前から始まっていました。淑恵さんはうすうす気付いていましたが、いずれ相手とは切れるだろうと楽観視していました。相手の女性は、当初は既婚者で、夫が淑恵さんと結婚した後に離婚したようです。結婚から10年以上経ってから探偵に頼んで、浮気相手が昔と同一人物だと確認。淑恵さんはようやく重い腰を上げて、弁護士に離婚調停を頼んだのでした。