嵐山の公園で百人一首の歌碑めぐり

嵯峨嵐山文華館の近隣の公園には、「小倉百人一首」の歌碑100基が数か所に分散して建てられています。正式には「小倉百人一首文芸苑・屋外展示」と呼ばれるもの。さすがは「小倉百人一首」発祥の地、と言いたいところですが、私が見る限り、この歌碑に目を留める人はほとんどいないようです。

実を言うと、私自身も以前は、「なんだろう、この石。ああ、歌碑か……」くらいの関心しかありませんでした。ところが、『光る君へ』や本連載の執筆をきっかけに、この歌碑の見方が徐々に変わってきたのです。

歌を詠んだ平安京の人たちも、この場所に立って、嵐山の紅葉に感動したり、渡月橋の上にに浮かぶ月を見て誰かを想ったりしていたのだな――そんな心持ちで歌碑を眺めると意外に味わい深く、ワンコとの散歩がてら“歌碑探し”を楽しんでいます。

そう、歌碑めぐりではなく、“歌碑探し”。広範囲に点在する100基のなかから、『光る君へ』に関連した歌人の歌碑をゲーム感覚で探し当てるのです。

小倉百人一首文芸苑・屋外展示(奥野々宮地区)の案内図
竹林の近くにある小倉百人一首文芸苑・屋外展示(奥野々宮地区)の案内図

歌碑めぐりマップを表示したスマホを手に、現地の案内図も確認しながら探すのですが、これがなかなかに難しい。「これだ!」と思ったものが別の歌碑だったりで、あっちをウロウロ、こっちをキョロキョロ。犬を連れていなかったら、不審に思われそうです。

この連載のために「写真を撮らねば!」との気持ちも手伝って、お目当ての歌碑を、意地になって探してしまいました。