「仲良く」なんて望まない。ほどほどのつき合いを保てればいいけれど、そうもいかないのが夫のきょうだいとの関係だ。ときに災いの種となり、敵となって行く手に立ちはだかる小姑・小舅たち。妻にとっては他人でも、夫にとっては血のつながりがあるだけに厄介で……。カオルさん、マサコさん(どちらも仮名)の頭痛の種は独り身の家族だ(取材・文=福永妙子)
居座り続けて2年半…
「結婚しない」人たちが急増していると言われる昨今、ここのところよく耳にするのが夫の「独身」のきょうだいに関するもめごとだ。
カオルさん(43歳)夫婦は、結婚5年目で2人目の子どもができたときに、夫の両親との二世帯住宅を建てた。二世帯といっても、1階のリビングの奥の1室が義父母の部屋、2階が夫婦の寝室と子ども部屋。台所とお風呂は共用で、食事も一緒にする。ローンは夫が払っているが、義父母は生活費という名目で、毎月15万円を息子たちの家計に入れている。
そんなある日、この家の居候となったのが夫の独身の弟だった。夫は3人きょうだいの真ん中で、上に姉がおり、下がこの弟だ。当時、30代半ば。首都圏で職を変えながら働いていた義弟は、都会での生活に終止符を打ち、郷里に帰ってきたのだ。
その頃、カオルさんの子どもたちはまだ小学生。夫は「仕事が見つかってアパートを借りるまで」という条件で、子ども部屋を義弟に提供した。
「数ヵ月のことだと思っていたのに、義弟は出ていく気配がない。ようやく仕事が見つかっても長続きしないから、いつまでたっても部屋を借りるお金がなく、そんなこんなで2年半……。『生活費を入れて』とも言えないし、結婚の気配もなし。
私はフルタイムで働いていますが、仕事から帰宅して、むさ苦しい男が居間のソファに寝そべっているのを目にすると、イライラしました。夫が『いつまでいるつもりだ』と言っても、義弟はおっとりというか鈍いというのか、『まあ、そのうちに』と言ってヘラヘラしているんですから」