「角座では《お練り》といって衣装のまま通りを歩いてお客さんを呼び込むのですが、海外の方がふらっと劇場に寄ってくださるのも嬉しくて」

小劇場での2年間で重ねてきたもの

私もあそこに立ちたいと思って、その勢いのままOSK日本歌劇団研修所を受験。両親には本当に申し訳なかったのですが、大学へは1週間しか通いませんでした。

合格してから2年間は研修所でみっちり歌や踊り、演技の勉強に励む毎日。研修所の同期には、子どもの頃からお稽古していた人もいれば、私よりもっと初心者の人もいて、すごく個性的なメンバーばかりで楽しかったです。

2013年4月の日生劇場で劇団員として初舞台を踏みました。前年から続く劇団90周年の記念公演の締めくくりであり、劇団にとって18年ぶりの東京公演ということもあって、上級生の皆さんも並々ならぬ気合。

そこへ初舞台のぴよぴよが参加するわけですから、目をつぶってても踊れるくらい滅茶苦茶にお稽古を重ねました。舞台が明るくなり、お客様からのわーっというお声を聞いて鳥肌が立ったことだけは覚えています。

それから大阪松竹座など大劇場でのレビュー公演を中心に経験を重ねていたのですが、入団5年目に、神戸の小劇場で5人だけのダンス公演に出演するように言われたのです。松竹座の公演は年に1度のお祭り。先輩方から学べることも多いので、そこから外れるのは正直とてもショックでした。