大海篤子さん(右)と、NPO「煌めく返り花」の代表理事・西野歩さん(撮影:藤澤靖子)

実際、砧の住宅街も高齢化が進み、独居老人が増えている。住民たちは挨拶する程度の近所付き合いだったが、世代を超えてもう少し密な交流が生まれれば、互いに安心して生活できるはずだ。

そう考えた大海さんは、親しくしていた6人のご近所さんの協力を得て、「砧むらおばちゃん会議」の立ち上げを決意。自宅の空き部屋を開放し、気軽におしゃべりしながら、助けられたり助けたりの関係づくりを2016年にスタートした。

活動趣旨や予定などを綴った『砧むらだより』を約500部作成し、町内会の回覧板に挟む、郵便受けに投函するなど行ったところ、初回に10人ほどが参加した。以来、毎月『砧むらだより』を発行。今や93号目だ。徐々に参加人数は増え、現在は1ヵ月あたり70~90代の約50人が参加者として集う。

実際に「おしゃべり会+小さい歌う会」に参加すると、雨天にもかかわらず、下は75歳から上は91歳まで15人の女性が集まっていた。「家族が外出にいい顔をしない」「どんな場所なのか疑心暗鬼だった」などの理由で躊躇していたが、思い切って初参加したという方も。参加費は、お茶代の100円ぽっきりだ。

「ペットボトルのお茶を紙コップで分け合えば安いもの。実質、この100円と、『砧むらだより』の紙代や印刷代として世田谷区の『地域の絆連携活性化事業』から出る補助金が運営費です。コロナ下ではマスクを数百枚手作りして学校や医療施設に配ったり、参加者のお誕生日会を開いて、ケーキ代に充てたり。有効利用しているでしょ?」と、大海さんは自慢げに笑う。