「おしゃべり会+小さい歌う会」では、いつも笑いが絶えない(撮影:本誌編集部)
不安や心配ごとを共有できる仲間が近くにいたら、どれだけ心強いか――。ご近所同士で助け合える場を自ら作り、そこに集う人たちはどんな関係を築いているのだろう

<東京都世田谷区「砧むらおばちゃん会議」>
安心感を近所で共有

次に訪れたのは、東京都世田谷区砧(きぬた)の閑静な住宅街にある一軒家。ご近所の人が集い、交流する団体「砧むらおばちゃん会議」の代表・大海(おおがい)篤子さん(83歳)のご自宅だ。

1階の空き部屋を「くつろぎ処おおがいさんち」として開放し、月2回、なんでも語り合える場「おしゃべり会」を開催している。

「3人の子どもが巣立ち、空いた部屋をどうしようか考え始めた頃、今は亡き夫が認知症を患いました。それまでは旅行だ、映画鑑賞だとアクティブだった私は外出がままならなくなり、気が滅入ってしまって……。

そこで近所の人に、『うちで遊ぼう』と声をかけたのです。それからはしょっちゅう集まって、夫も交えて、お茶をしながら雑談をするようになりました」(大海さん)

これを機に近所の人たちは大海さんの夫を気にかけ、家の外で見かけると連絡をくれるようになったという。大海さんは、「夫を見守っているのは私ひとりじゃないと、とても心強かった。こうした安心感を、近所全体で共有できたらなって思ったんです」と、当時を振り返った。