館内に並ぶ本は、月額2400円で棚の一角を所有できる「一箱本棚オーナー」のお薦めのものだ。オーナーは現在、10~70代の約90人。職種はさまざまで、外国人や法人というケースもあるため、本のジャンルは多岐にわたる。
「本の貸し出し時に感想カードをお渡しするのですが、それが貸主と借主の橋渡しとなり、交流が芽生えることも少なくありません」
図書館は、最初に登録料300円を支払えばいつでも利用可能。公共の図書館とは違い、過ごし方は自由だ。併設するカフェで飲み物を購入して勉強するもよし、隣席の人と談話するもよし。ボランティアの店番と会話に勤しんでもかまわない。
また週に2回、医療福祉の専門家が心身の健康相談を受け、必要に応じて有効なコミュニティなどを紹介する「居場所の相談所」が開かれる。病気や人間関係などの悩みを抱える人たちが訪ねてくるという。
安藤有公子さん(64歳)も、だいかい文庫を利用するひとりだ。5年前、約40年過ごした東京から実家のある豊岡市に戻った。
「本に関わる仕事をしてきたこともあって、人づてにここのオープンを知り興味を持ちました。すぐに利用者登録をし、『本棚オーナー』になり、月1回のペースで店番もしています」
間もなくして両親が次々と要介護の身になったという安藤さんだが、だいかい文庫でいくつかの出会いがあったという。