「店番中、親の介護経験を持つ70代くらいの女性と知り合い、介護についての本や勉強会などの情報をいただいたことも。家族の問題って、親しい関係のほうがかえって話しづらい場合もありますよね。挨拶程度の間柄だからこそ、素直にポロッと本音を漏らすことができて、少し楽になりました」

今は親の介護優先で、自分の将来を考える余裕がないという安藤さん。しかし、今後についてこう話してくれた。

「ここでの出会いは、『繋がりの貯金』みたいなものだと感じています。たまにこの図書館ですれ違う程度の関係でも、すでに『本好き』という共通点があるし、この先、手を取り合える仲間になるかもしれないでしょ?だから、細く長くでいいから、この場にかかわり続けていきたいと思っています」

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各地に人と人がゆるく繋がりながら、支え合っている場所があることを知り、とても心強く感じた取材だった。老後を子どもに頼るのは避けたい私も、普段はゆるり、いざとなったら互助できる《繋がれる居場所》を近所で探してみようと思う。


【ルポ】いざという時に助け合える ゆるく繫がる地域の《居場所》
(1)<石川県輪島市「かあちゃん弁当」>励まし合う憩いの場
(2)<東京都世田谷区「砧むらおばちゃん会議」>安心感を近所で共有
(3)<大阪府堺市「グループ・スコーレ」>必ず誰かが世話を焼く
(4)<兵庫県豊岡市「だいかい文庫」>人との出会いは繋がりの貯金