篠田Pの「スキ!になれる能力」

池松:篠田さんは「テレビの番組をつくる人」なので「コンテンツを作る難しさ」について聞きたいと思います。社歴が6年になりますが、中堅の若手から見てどうですか?テレビって。

篠田:テレビって、どこかに言い訳できる構造があるのではないかと感じます。例えば、良い番組内容だったけど視聴率はイマイチだったとか、裏の番組の視聴率が良かったからとか。いろんな状況があるのですが、言い訳がしやすいのではないかと。たとえば局内では「番組を作る部署(制作)」と「番組を宣伝する部署(宣伝)」「番組のスケジュールを決める部署(編成)」などが分かれて存在しています。これは、どのテレビ局も同じだと思いますが、組織で分業しているゆえに、テレビの現場って言い訳しやすい構造なのかもしれません。

池松:なるほど。むかしはYouTubeやSNSが無かったからで、情報発信できるのはテレビ局やマスコミしか無いのですからね。SNSネイティブだと、仕事の仕方も変わりますね。

篠田:そうかもしれません。それに、そもそも僕は「演者(タレントさん)にフォーカスをあてた番組」を作るのがスキなのです。

池松:『秋山歌謡祭』はそのものですね。

篠田:新人研修でも同じような話しをしているのですが「演者(タレントさん)ファーストの番組作り」を大事にしています。

池松:ちなみにそれは「なに愛?」なのでしょうか?

篠田:そうですね。「演者への愛」かもしれません。やはり、演者(タレントさん)はコンテンツの最終的な見え方や責任を負っています。たとえば、『秋山歌謡祭』なら、ロバート・秋山さんがそれを担っています。しかし、その企画を最初に持ち込んだのは自分ですから、「それはおまえの企画だろ」ということなのです。だから、私もその責任をきちんと背負わなければならない。だからこそ、出演するタレントさんへの愛が何よりも重要だと考えています。

池松:さらに深堀りすると、その愛は仕事論的には「なに愛?」になるのでしょうか?

篠田:そうですね。「コンテンツ愛」かもしれません。

池松:しっくりきました!話している瞬間、今日一番のイイ顔をしていましたね。(笑)

篠田:自分が作った番組やYouTubeコンテンツがもし失敗したら自分の責任ですし、それを「××さんがダメだったから上手くいかなかった」とは言いたくないのです。だから、自分が担当する番組に関しては、出演する演者(タレントさん)や、ゲストのことを1回とことん「スキ!」になって調べます。

池松:その向き合い方は、すごく素敵です。

秋山歌謡祭2024・社長賞を授与される篠田直哉プロデューサー
※秋山歌謡祭2024・社長賞を授与される・Xポストより引用