そもそも根本的には、出たくないタイプ。

池松:そんなに表に出ていると、周りから「出たがり」って言われたりしませんか?

篠田:ありますね。「出たがり」と思われているという認識はあります。

池松:僕は篠田さんが本来そういうタイプではないと感じているのですが、どのように説明しているのですか?

篠田:「陰キャ」というか、暗いタイプだったので、『表に出ることで社内で企画が通りやすくなったり、番組のPRがしやすくなるので出るようになりました』と説明しています。これがどれだけ説得力があるか分かりませんが、「本当は出たくない」という気持ちを、社内にはまだきちんと伝えられていないのかもしれません。

池松:「スキ!」を仕事にするためには、「本当の自分」と「本意ではない自分」の両方が必要で、この葛藤は、多くのビジネスパーソンが抱える共通の課題ではないかと思います。ここで特筆すべきは、篠田さんが「何者かになりたい」という承認欲求に駆られているわけではないという点です。篠田さんは「SNSで自分を語り、認知度を高めたい」と考える人とは一線を画しています。だからこそ、今回の対談インタビューを実現したいと思ったのです。

編集作業をする篠田直哉プロデューサー
仕事場で 撮影:池松潤